公開日:2026.07.28
離婚調停を申し立てられたら?呼出状が届いた直後にすること・してはいけないこと

監修:岩澤 千洋弁護士(宮崎県弁護士会所属)
監修日:2026年7月28日 最終更新日:2026年7月28日
家庭裁判所から突然、離婚調停の呼出状や申立書の写しが届くと、「もう離婚が決まってしまうのか」「すぐに返事をしなければ不利になるのか」と不安になるかもしれません。
呼出状が届いても、その時点で離婚や条件が決まったわけではありません。
まず行うのは、届いた書類と期限の確認です。無視したり、焦って配偶者へ連絡したりする前に、申立内容と自分の希望を落ち着いて整理します。
この記事では、離婚調停を申し立てられた側が最初にすること、避けたい行動、初回期日までの準備を解説します。宮崎家庭裁判所から書類が届いた方に向けた注意点もまとめました。
※本記事は2026年7月時点の一般的な制度を説明するものです。届く書類や必要な対応は、裁判所や事件の内容によって異なります。実際の提出期限・提出先は、手元の書面を優先して確認してください。
目次
離婚調停の呼出状が届いたら、最初にする5つのこと
呼出状を受け取った直後は、離婚に応じるかどうかの結論を急ぐよりも、正確な情報を揃えることが先です。次の5項目を順番に確認してください。
1. 封筒を含む書類一式を保管する
届いた封筒、呼出状または期日通知書、申立書の写し、照会書・回答書、案内文などを、まとめて保管します。書類の名称や同封物は事件によって異なるため、「必要なさそう」と自己判断して捨てないようにしてください。
書類はスマートフォンで撮影するだけでなく、原本も残します。弁護士へ相談するときは、どの書類がどの封筒に入っていたかも確認できる状態が望ましいです。
2. 裁判所名・事件番号・期日を確認する
最初に、次の項目へ印を付けます。
- 裁判所名と担当部署
- 事件番号
- 第1回調停期日の日時
- 出頭する場所
- 裁判所の連絡先
裁判所へ問い合わせる際は、事件番号を伝えると確認が進みやすくなります。書面が本物か不安な場合は、裁判所公式サイトで代表番号を確認したうえで問い合わせる方法もあります。
3. 提出書類と期限を確認する
同封された案内に、回答書等の提出を求める記載がないか確認します。提出期限が書かれている場合は、期日と別にメモしてください。
内容の書き方に迷っても、期限そのものを放置するのは避けます。裁判所は中立な立場であり、どのような主張をすべきかという個別の法律相談には応じられませんが、手続や提出方法について確認できる場合があります。
4. 申立人が求めている内容を確認する
離婚調停では、離婚するかどうかだけでなく、親権、親子交流、養育費、財産分与、年金分割、慰謝料などが話し合われることがあります。
申立書の「申立ての趣旨」や該当する欄を見て、相手が何を求めているかを項目ごとに書き出します。金額、支払期間、自宅の扱いなどが具体的に書かれている場合は、その内容も転記します。
5. 自分の希望を「離婚」と「条件」に分けて整理する
相手から離婚を求められると、離婚へ応じるかどうかだけに意識が集中しがちです。しかし、今後の生活を考えるには、条件の整理も欠かせません。
「離婚に応じるか」と「応じる場合の条件」は分けて整理します。
現時点で決められない場合は、「まだ判断できない」として構いません。そのうえで、子どもの生活、別居中の生活費、住まい、財産、ローンなど、判断に必要な情報を洗い出します。

呼出状が届いても離婚が決まったわけではない
離婚調停は合意による解決を目指す手続
家庭裁判所の離婚調停は、裁判官1人と調停委員2人以上で構成される調停委員会が双方の事情や意見を聴き、話合いによる解決を目指す手続です。
裁判のように、一方の勝ち負けを第1回期日ですぐに決めるものではありません。離婚することや条件について合意が成立すれば、その内容が調停調書に記載されます。
離婚調停で合意できず不成立となった場合、離婚そのものの最終的な解決を求めるには、原則として改めて離婚訴訟を提起することになります。
詳しい制度は、裁判所の「夫婦関係調整調停(離婚)」と「調停手続一般」で確認できます。
離婚以外の条件も一緒に話し合える
調停では、離婚そのものに加えて、次のような問題を話し合うことができます。
| 主な論点 | 確認する内容の例 |
|---|---|
| 子ども | 親権、監護、親子交流、養育費 |
| 別居中の生活 | 婚姻費用、住居、生活費の負担 |
| 財産 | 預貯金、保険、不動産、車、退職金、ローン |
| その他 | 年金分割、慰謝料、氏や戸籍に関する今後の手続 |
相手の主張へ反論することだけが準備ではありません。離婚調停では、相手の申立内容への反論だけでなく、自分と子どもの今後の生活を具体化することが大切です。
岩澤法律事務所の離婚ページには、配偶者の代理人から通知を受け、離婚調停を申し立てられたケースについて、婚姻費用、住居、財産等を一体として整理した公開解決事例があります。離婚に応じるかだけでなく、生活基盤まで含めて検討する必要性が分かる事例です。
2026年4月以降の親権制度にも注意する
2026年4月1日施行の改正後は、未成年の子どもがいる父母が離婚するとき、離婚後の親権者を父母双方とするか一方とするかを定める制度になっています。
親権の定めは、単に「共同か単独か」という希望だけで決めるものではありません。子どもの現在の生活、父母間の関係、安全上の問題、今後の意思決定などを具体的に整理する必要があります。
DVや子どもへの虐待等が疑われる場合は、安全確保を優先し、一般的な話合いをそのまま勧められないことがあります。
離婚調停を申し立てられた直後にしてはいけないこと
呼出状を受け取った直後は、驚きや怒りから行動を急ぎやすい時期です。次の対応は避け、書面と状況を確認してから動いてください。
呼出しや提出期限を無視する
書類を見たくないからといって、封筒を閉じたままにしたり、期日を過ぎるまで放置したりするのは避けます。
出席が難しい事情がある場合も、無断で欠席するのではなく、呼出状に記載された担当部署へ連絡します。日程を変更できるかどうかは裁判所が判断するため、変更されることを前提に予定を組まないようにしてください。
感情的に相手へ直接連絡する
「なぜ申し立てたのか」と問い詰める電話や、長文のメッセージをすぐ送ることが、解決につながるとは限りません。相手に代理人弁護士がついている場合は、連絡先として代理人が指定されていることもあります。
DV・モラハラ、つきまとい、強い威圧などの事情がある場合は、直接連絡が危険につながることもあります。安全面に不安があるときは、相手との接触より先に、弁護士や公的相談窓口へ相談してください。
内容を理解しないまま離婚条件を約束する
早く終わらせたいという気持ちから、財産分与、養育費、住居、ローン等について、その場で約束するのは慎重に考える必要があります。
一つの条件だけを見ると受け入れられそうでも、全体を組み合わせると生活に無理が生じる場合があります。資料が揃っていない条件は、「確認してから回答する」と整理します。
財産・やり取り・生活状況の記録を消す
預貯金、保険、不動産、給与、ローン、税金、夫婦間のメッセージ、子どもの生活記録などは、論点を整理する資料になることがあります。
記録を故意に削除・改変したり、財産を隠したりしてはいけません。一方で、相手のスマートフォンやアカウントへ無断でアクセスするなど、違法となるおそれがある方法で証拠を集めることも避けてください。
相手に知られたくない住所等を確認せず提出する
裁判所へ提出した資料が、相手に送付されたり、閲覧・謄写の対象になったりする場合があります。現住所、勤務先、子どもの学校等を相手に知られたくない事情がある方は、提出前に担当裁判所へ相談してください。
宮崎家庭裁判所は、相手に知られたくない情報のマスキングや、非開示希望の申出に関する案内を公開しています。また、マイナンバーが記載された書類は提出しないよう案内しています。

初回期日までに整理したい7項目
準備の目的は、相手の主張へ感情的に反論することではありません。事実、資料、自分の希望を分け、話し合うべき項目を見える形にすることです。
離婚するかどうかについての現在の考え
「離婚に応じる」「応じない」「まだ決められない」のどこに近いかを書きます。結論が決まっていない場合は、判断するために不足している情報も記載します。
例えば、別居中の生活費が決まっていない、自宅の査定やローン残高が分からない、子どもの生活環境を確認したい、といった事項です。
夫婦関係と別居までの時系列
婚姻、転居、子どもの出生、問題が生じた時期、別居、通知書や呼出状の受領など、重要な出来事を日付順に1~2枚でまとめます。
長い感想文にする必要はありません。「いつ・誰が・何をした・現在どうなっているか」を短く書くと、調停でも法律相談でも説明しやすくなります。
子どもの生活・監護状況
未成年の子どもがいる場合は、現在の同居先、通園・通学、通院、送迎、日常の世話、父母と子どもの交流状況などを整理します。
親権という言葉だけでなく、子どもの現在の生活を誰がどのように支えているかを具体的に示すことが重要です。子どもへ相手の悪口を伝えたり、調停での発言を求めたりすることは避けてください。
収入・支出と婚姻費用
別居中でも、夫婦や子どもの生活費が問題になる場合があります。源泉徴収票、給与明細、確定申告書、課税証明書、家賃、住宅ローン、保育料、学費、医療費などを揃えます。
相手から生活費が支払われていない、または過大な支払いを求められている場合は、離婚調停とは別に婚姻費用分担調停等を検討することがあります。
預貯金・保険・不動産・ローン等の財産
財産分与が問題になる場合は、夫婦双方の財産と負債を一覧にします。
- 預貯金
- 生命保険等の解約返戻金
- 不動産と住宅ローン
- 自動車
- 株式・投資信託
- 退職金に関する資料
- 事業用資産・会社株式
- その他の借入れ
資料が手元にないものは、存在、名義、金融機関等、分かる範囲を記録します。無理な方法で取得せず、調停や弁護士への相談で確認方法を検討します。
相手から届いた書面と夫婦間のやり取り
呼出状だけでなく、相手または相手方弁護士から届いた通知書、メール、メッセージ、合意書案などを時系列に並べます。
一部だけを切り取ると経緯が伝わりにくい場合があります。可能であれば、前後のやり取りも含めて確認できるようにします。
希望条件と優先順位
希望を「必ず確認したいこと」「できれば希望すること」「条件次第で譲歩できること」に分けます。
すべてを同じ強さで主張すると、本当に守りたい条件が見えにくくなることがあります。問題解決の目的地を考えるように、離婚後の住まい、収入、子どもの生活を起点に優先順位を整理します。
初回の離婚調停では何を聞かれるのか
調停委員会が双方から事情と意見を聴く
離婚調停では、裁判官と調停委員からなる調停委員会が、双方の話を聴きながら争点を整理します。一般的には、申立人と相手方から別々に事情を聴く形で進められますが、具体的な進行は事件や裁判所の判断によって異なります。
初回期日では、例えば次のような事項を確認されることがあります。
- 夫婦関係と別居の経緯
- 離婚についての現在の考え
- 相手の申立内容への意見
- 子どもの現在の生活
- 生活費、財産、住居等の状況
- 今後話し合いたい条件
- DV等の安全上の事情
法律用語より、事実と希望を時系列で伝える
難しい法律用語を使うことより、事実と希望を分けて伝えることが大切です。
「相手がひどい」という評価だけでなく、「何年何月に別居した」「何月から生活費が支払われていない」「子どもは現在この学校へ通っている」と具体化します。
資料には番号を振り、何を示す資料かを一言で書いておくと確認しやすくなります。裁判所から提出方法や部数について指示がある場合は、その案内に従ってください。
その場で結論を出せない条件は持ち帰って検討する
調停委員から提案を受けても、内容や影響を理解できていない場合は、確認のために時間が必要であることを伝えます。
一度合意して調停調書に記載された事項には法的な効力が生じます。金額、期限、名義変更、ローン、子どもの生活に関する条件は、実行可能かを確認してから判断します。
欠席したい・期日に行けない場合の対応
無断で欠席せず、裁判所へ早めに連絡する
仕事、病気、育児、介護、遠方、安全上の事情などで指定された期日に出席できない場合は、無断で欠席せず、担当裁判所へ早めに連絡してください。
日程変更が認められるか、書面の提出が必要か、どのような方法で事情を伝えるかは、裁判所の案内に従います。相手と直接日程を決めても、裁判所の期日が自動的に変更されるわけではありません。
相手が欠席しても直ちに自分の希望どおり決まるわけではない
離婚調停は双方の合意を目指す手続です。申立人または相手方が欠席したからといって、出席した側の希望どおりに離婚や条件が直ちに確定するものではありません。
ただし、欠席が続けば話合いが進まず、不成立となる可能性があります。離婚調停が不成立となった後に離婚を求める側が最終的な判断を求める場合は、原則として離婚訴訟を検討することになります。
弁護士をつけるか判断するポイント
本人だけで調停に対応することもできる
離婚調停は、弁護士へ依頼せず本人で対応することもできます。争点が少なく、双方の情報が開示され、条件の見通しが立っている場合は、本人同士の調停で合意できることもあります。
一方、調停委員会は中立であり、どの条件が自分に適切かを個別に助言する代理人ではありません。自分の権利や選択肢を確認したい場合は、法律相談を利用する意味があります。
早めの相談を検討したいケース
次のような場合は、初回期日前の相談を検討してください。
- 相手に弁護士がついている
- 離婚へ応じるか決めていない
- 親権、監護者、子の引渡しが問題になっている
- DV・モラハラ・住所秘匿等の安全上の事情がある
- 不動産、住宅ローン、退職金、事業資産等がある
- 財産を隠されている可能性がある
- 婚姻費用が支払われていない、または高額な請求を受けている
- 慰謝料請求も含まれている
- 書面の意味や提出範囲を判断できない
緊急性は事案によって異なります。子どもの連れ去り、暴力、保護命令、財産処分等が関係する場合は、通常の離婚条件の整理より先に対応が必要なことがあります。
依頼するか未定でも、書類確認の相談には意味がある
弁護士へ相談したからといって、必ず正式依頼をしなければならないわけではありません。
初回期日前に、申立内容、争点、必要資料、自分で対応できる範囲を確認すると、準備の順番を決めやすくなります。依頼する場合は、弁護士が書面作成、主張整理、期日への対応等を行う範囲と費用を確認します。
宮崎家庭裁判所から書類が届いた方へ
事件の担当部署と提出先は呼出状で確認する
宮崎家庭裁判所は、夫婦関係調整調停(離婚)について、宮崎で申立てをする側の必要書類や情報管理上の注意を公開しています。
ただし、申し立てられた側が提出する書類や提出先は、実際に届いた案内で確認する必要があります。事件番号、担当部署、提出期限を確認し、不明点は呼出状に記載された連絡先へ問い合わせてください。
住所等の情報管理については、宮崎家庭裁判所「夫婦関係調整調停(離婚)」も参考になります。
岩澤法律事務所へ相談するときに持参したいもの
相談時は、可能な範囲で次の資料をご用意ください。
- 裁判所から届いた封筒と書類一式
- 相手または相手方弁護士から届いた通知書
- 重要な出来事をまとめた時系列メモ
- 源泉徴収票、給与明細、確定申告書等
- 預貯金、不動産、保険、ローン等の資料
- 子どもの生活状況を整理したメモ
- 夫婦間の重要なやり取り
- 質問したい事項の一覧
岩澤法律事務所の初回相談の流れと準備もご確認ください。
よくある質問
Q. 離婚調停を欠席すると、相手の希望どおりに離婚が決まりますか
A. 離婚調停は当事者の合意を目指す手続なので、1回欠席しただけで相手の希望どおりに離婚条件が確定するわけではありません。ただし、無断欠席や裁判所からの連絡の放置は避けてください。出席できない事情がある場合は、呼出状に記載された担当部署へ早めに連絡します。
Q. 呼出状が届いたら、申立人へ直接連絡した方がよいですか
A. 必ずしも直接連絡する必要はありません。感情的な対立、相手方代理人の就任、DV・モラハラなどの事情がある場合は、連絡が状況を悪化させることもあります。まず申立書の内容を確認し、安全面を含めて連絡方法を検討します。
Q. 初回期日までに弁護士へ依頼しなければなりませんか
A. 弁護士への依頼が必須というわけではなく、本人で対応することもできます。ただし、親権、監護、DV、財産、住宅ローン、事業資産などが争点になる場合や、相手に弁護士がついている場合は、初回期日前の相談を検討する価値があります。
Q. 初回期日に離婚へ同意しなければなりませんか
A. 書類や条件を十分に確認できていない段階で、結論を急ぐ必要はありません。「離婚に応じるか」と「応じる場合の条件」を分け、子ども、生活費、住まい、財産等を整理して判断します。
Q. 現住所を相手に知られたくない場合はどうすればよいですか
A. 住所等を相手に知られたくない事情がある方は、資料を提出する前に裁判所へ相談してください。宮崎家庭裁判所は、相手に知られたくない情報のマスキングや非開示希望の申出に関する案内を公開していますが、書類の種類や必要性によって扱いが異なります。マイナンバーが記載された書類は提出しないよう案内されています。
まとめ|届いた書面を基に、初回期日までの道筋を整理する
離婚調停の呼出状が届いても、その時点で離婚や条件が決まったわけではありません。まず、裁判所名、事件番号、期日、提出期限、申立内容を確認します。
そのうえで、離婚への考えと条件を分け、子ども、生活費、住まい、財産等を整理してください。無視すること、感情的に相手へ連絡すること、資料が揃わないまま条件を約束することは避けます。
岩澤法律事務所は、宮崎市橘通西にある法律事務所です。離婚調停の回答や初回期日の前に、裁判所から届いた書面一式をお持ちいただければ、ご事情に応じて争点と準備の順番を整理します。
初回の面談相談は30分まで無料です。電話相談は初回10分まで受け付けています。相談予約は電話(0985-77-8177)または相談予約フォームからお申し込みください。平日17時以降および土日祝は、折り返しでの対応となる場合があります。
※利益相反、相談内容、地域その他の事情により、相談・受任に対応できない場合があります。相談結果や解決結果を保証するものではありません。
このコラムの監修者
岩澤法律事務所
岩澤 千洋弁護士宮崎県弁護士会所属
日々の生活で生じる悩みの多くは法的な問題に分析することができ、何かしらの法的な解決(目的地)を見つけることができます。まずは、お気軽にご相談ください。どのような問題であれ、何事も依頼者の方の立場利益を第一に考えて、できる限り依頼者の方の利益にかなう解決(目的地)に向けて最善の努力をいたします。