公開日:2026.08.03

不倫慰謝料を請求されたら?内容証明が届いた直後の対応

不倫慰謝料を請求されたら?内容証明が届いた直後の対応

監修:岩澤 千洋弁護士(宮崎県弁護士会所属)
監修日:2026年8月3日 最終更新日:2026年8月3日

交際相手の配偶者や代理人弁護士から突然、不倫慰謝料の請求書や内容証明が届くと、「期限までに全額支払わなければならないのか」「会社や家族に知られるのではないか」と不安になるかもしれません。

内容証明が届いても、記載された事実、金額、支払義務が直ちに確定するわけではありません。

一方、請求を無視すると、交渉の機会を失い、民事調停や訴訟へ進む可能性があります。書面を保管し、請求の根拠と自分の認識を整理してから対応することが大切です。

この記事では、主に、既婚者との交際を理由として、その配偶者から慰謝料を請求された方に向けて、届いた直後の確認事項と回答の考え方を解説します。

※本記事は2026年8月時点の一般的な情報です。支払義務や適切な回答は、交際内容、認識、夫婦関係、証拠、既払額等によって異なります。

慰謝料請求を受けた直後に確認する5つのこと

驚いても、すぐに相手へ電話したり送金したりせず、次の順番で確認します。

1. 内容証明・封筒・添付資料を保管する

請求書、封筒、配達票、添付資料、メール等をまとめて保管します。受け取った日も記録してください。書面を撮影またはスキャンしておくと、相談時に確認しやすくなります。

内容証明郵便には通常、資料を同封できません。証拠が示されていないから存在しないとは限らないため、同封物の有無だけで結論を出さないようにします。

2. 誰が何を理由にいくら請求しているか確認する

差出人が交際相手の配偶者本人か、代理人弁護士かを確認します。請求対象の期間、行為、請求額、遅延損害金、振込先、謝罪や接触禁止等の要求も項目に分けます。

弁護士名や事務所に不審な点がある場合は、弁護士情報提供サービス「ひまわりサーチ」等で確認した連絡先から実在性を確かめます。

3. 回答期限と連絡窓口を確認する

回答期限、回答方法、指定された窓口を確認します。本人へ直接連絡しないよう求められている場合は、まず代理人を窓口として扱う方が、対立や誤解を増やしにくいでしょう。

まず、差出人・請求理由・金額・回答期限・裁判所書面の有無を確認します。

4. 裁判所からの訴状や呼出状ではないか確認する

相手本人や弁護士からの請求書と、裁判所から特別送達で届く訴状・期日呼出状は別です。裁判所の封筒がある場合は、裁判所名、事件番号、答弁書の提出期限、第1回期日を確認します。

弁護士からの通知書と裁判所書面の違いは「配偶者の弁護士から通知書が届いたら」も参考になります。

5. その場で認める・支払う・署名することを避ける

電話で「私がすべて悪い」「必ず全額払う」と伝えたり、内容を確認せず誓約書や示談書へ署名したりすることは避けます。

受領したことだけを連絡する場合も、事実関係や責任を認める表現を混ぜないよう注意が必要です。

不倫慰謝料を請求された直後に確認する5項目

内容証明が届いたら慰謝料を支払う義務が確定するのか

内容証明は文書の内容が真実だと証明する制度ではない

日本郵便の案内によると、内容証明は、いつ、どのような内容の文書を誰から誰へ差し出したかを証明する制度です。文書に書かれた事実が真実であることを証明するものではありません。

したがって、内容証明が届いたという理由だけで、請求額どおりの支払義務が確定するわけではありません。内容証明には、請求の意思を明確にし、交渉や時効への対応に備える目的があります。

請求書の期限と裁判所の提出期限は区別する

請求書に「7日以内」「○月○日まで」と書かれていても、相手方が回答希望日として設定している場合があります。直ちに全額を支払う法的期限とは限りません。

ただし、裁判所から訴状が届いている場合の答弁書提出期限や期日は別です。裁判所から訴状が届いている場合は、答弁書の提出期限と期日を優先して確認してください。

無視することにもリスクがある

請求書への無回答だけで、当然に相手の主張を認めたことになるとは限りません。しかし、相手が交渉では解決できないと考え、民事調停や訴訟を申し立てる可能性があります。

確認に時間が必要なときは、何も答えず放置するのではなく、受領したことと回答猶予を求める連絡が適切か検討します。

不倫慰謝料の支払義務を検討する5つのポイント

不倫慰謝料は、請求された金額だけを見て判断するものではありません。民法上の不法行為責任を前提に、次の点を確認します。

1. 請求された行為があったか

まず、請求書に書かれた相手、時期、交際内容が事実と一致するか確認します。一般に不貞慰謝料では肉体関係の有無が重要ですが、個別のやり取りや行為全体が問題とされる場合もあります。

事実と異なる場合は、感情的に否定するだけでなく、いつ、どこで、どのような関係だったかを時系列にし、裏付けとなる資料を整理します。

2. 相手が既婚者だと知っていたか、知り得たか

交際相手が既婚者だと知っていたか、注意すれば知ることができたかが問題になります。「独身だと言われた」という説明だけで結論が決まるわけではありません。

出会った経緯、プロフィールの表示、相手の説明、住居、連絡できる時間帯、家族に関する発言、既婚と知った時期等を確認します。

3. 交際開始時に婚姻関係が既に破綻していたか

肉体関係を持った時点で相手夫婦の婚姻関係が既に破綻していた場合は、特段の事情がない限り、第三者が不貞慰謝料の責任を負わないとした最高裁判例があります。ただし、「夫婦仲が悪い」「離婚すると聞いた」だけで、直ちに破綻が認められるわけではありません。

2026年6月5日の最高裁判決は、第三者が交際相手の離婚を信じる相当な理由がなかったというだけで、直ちに過失があるとはいえず、婚姻関係が既に破綻していると信じ、そう信じる相当な理由があったかも検討すべきだと示して、原判決を破棄し差し戻しました。

別居時期、離婚協議、家計や生活の分離、夫婦間のやり取り、第三者が見聞きした資料等が検討対象になります。

4. 請求者に生じた損害と請求範囲は妥当か

不貞行為の期間・回数、婚姻期間、発覚前後の夫婦関係、別居・離婚への影響、未成年の子どもの有無、交渉経過など、さまざまな事情が金額の検討に関係します。

請求書に高額な数字が書かれていても、それが裁判所で認められる額と同じとは限りません。反対に、不貞行為を認める場合でも、金額や他の条件を分けて考える必要があります。

5. 時効や既に支払われた慰謝料を確認する

不法行為による損害賠償請求権には消滅時効があります。民法724条では、原則として損害と加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年とされています。ただし、起算点、時効の完成猶予・更新、請求の種類により判断が変わります。

また、交際相手である配偶者が、請求者へ既に慰謝料や解決金を支払っている場合があります。誰が、誰に、何の名目で、いくら支払い、どのような合意をしたかを確認します。

請求額ではなく、行為・認識・婚姻関係・損害・既払額を分けて検討します。

不倫慰謝料の支払義務を検討する5つのポイント

請求額をそのまま支払う前に確認すること

慰謝料に法律上の一律の定価はない

不倫慰謝料には、行為があれば必ずこの金額になるという法律上の定価はありません。当事者間の交渉で合意する金額と、訴訟で裁判所が認定する金額も同じとは限りません。

本記事では相場額を断定せず、責任の有無を含む初動に焦点を当てます。請求額が妥当かは、請求者が示す事情と自分の認識・資料を照合して検討します。

配偶者からの支払い・合意内容も確認する

不貞行為をした配偶者と交際相手が共同で責任を負う関係になる場合でも、請求者が同じ損害について二重に満額の賠償を受けられるわけではありません。

ただし、配偶者からの支払いが、不貞慰謝料、離婚慰謝料、財産分与、解決金等のどれに当たるかは、合意書と経緯を確認しなければ分かりません。

慰謝料以外の条項も分けて検討する

請求書や示談案には、謝罪、接触禁止、口外禁止、違約金、求償権の放棄等が含まれることがあります。

岩澤法律事務所の公開解決事例でも、不貞をしたという負い目から、慰謝料とは別の争点で一方的な約束をしてしまう危険が指摘されています。責任を感じている場合も、慰謝料額と他の条項を分けて検討してください。

慰謝料請求への回答方法

事実関係や根拠が不足している場合

いつ、どのような行為を理由に請求しているのか不明な場合は、対象期間、具体的事実、金額の根拠等を明らかにするよう求めることを検討します。

相手が持つ証拠をすべて任意に開示する義務が当然にあるわけではありませんが、何を争点としているのかを確認しなければ、適切な回答は困難です。

確認に時間が必要な場合

例えば、「書面を受領しました。内容と事実関係を確認しているため、○月○日まで回答の猶予をお願いします」という趣旨の連絡を検討します。

これは一般的な例です。受領連絡自体が適切か、いつまでの猶予を求めるかは、書面と事情によって異なります。送信前に、責任や事実を認める表現が入っていないか確認してください。

責任の有無や金額を争う場合

全面的に否定する、事実の一部だけを認める、支払義務は争わず金額を交渉するなど、回答方針は異なります。

主張を変えると信用性が問題になることがあります。先に交際相手へ口裏合わせを求めるのではなく、自分が当時知っていた事実と資料を整理します。

合意する場合は示談書の全条項を確認する

支払額、支払期限、分割方法だけでなく、清算条項、接触禁止の対象・期間、違約金、口外禁止、求償権、遅延した場合の取扱いを確認します。

示談成立後に同じ問題が蒸し返されない範囲になっているか、守れない約束が含まれていないかも重要です。

慰謝料を請求されたときに避けたい行動

感情的な電話や長文メッセージを送る

相手本人へ怒りや謝罪を長文で送ると、事実を認めたと受け取られる表現や、新たな対立の原因が生じる可能性があります。連絡窓口が弁護士に指定されている場合は、代理人を通します。

証拠やアカウントを削除・改変する

メッセージ、写真、通話履歴、予定表、決済履歴等は、双方の主張を確認する資料になる場合があります。削除、改変、端末の初期化は避けてください。

相手の職場・家族・SNSへ連絡する

請求への対抗として、相手の勤務先や家族へ知らせたり、SNSへ事情を投稿したりすると、名誉・プライバシー等をめぐる別の紛争が生じる可能性があります。

相手から「会社へ知らせる」などと言われている場合も、応酬せず、その発言を保存して対応を検討します。

内容を確認せず分割払い・違約金等を約束する

一部を送金したり、分割払いを約束したりする前に、その行為が責任の承認や時効にどのような影響を与えるか確認が必要です。

不安や負い目から、その場で支払い、謝罪、違約金等を約束しないことが大切です。

弁護士へ相談する際に準備したい資料

請求書面と封筒

内容証明、請求書、示談案、封筒、配達票、代理人からのメール等をそのまま用意します。裁判所から書面が届いていれば、そちらを優先して見せてください。

交際と相手夫婦に関する時系列

出会い、交際開始、既婚と知った時期、肉体関係の有無・時期、相手夫婦の別居や離婚協議について聞いた内容、請求を受けるまでを時系列にします。

メッセージ・写真・支払記録等

相手の婚姻状況についての説明、夫婦関係に関するやり取り、ホテル・旅行・贈り物等の記録、慰謝料や解決金の支払いに関する資料を整理します。

都合のよい箇所だけを切り取らず、前後のやり取りが分かる形で保存してください。

既に交わした合意や連絡

謝罪文、誓約書、示談書、送金記録、電話後のメモ等があれば用意します。交際相手の配偶者が既に支払いをしたと聞いている場合は、分かる範囲で資料を確認します。

岩澤法律事務所の初回相談の流れと準備でも、相手方や代理人弁護士から届いた手紙、当事者間のやり取りを持参資料として案内しています。

よくある質問

Q. 内容証明が届いたら、書かれた金額を必ず支払う必要がありますか

A. 内容証明は、いつ、どのような文書を誰から誰へ差し出したかを証明する制度であり、記載内容が真実であることや支払義務を確定するものではありません。ただし、請求自体を放置せず、根拠と事実関係を確認して対応を検討してください。

Q. 請求書の回答期限までに結論を出す必要がありますか

A. 相手方が設定した回答希望日である場合もあり、その日までに請求どおり支払う義務が当然に生じるとは限りません。ただし、時効や既に始まっている裁判手続等が関係する場合もあります。すぐに判断できないときも無視せず、回答猶予の連絡や法律相談を検討します。

Q. 相手が独身だと説明していた場合も支払義務がありますか

A. 既婚者だと知らなかったことだけでなく、知らなかったことに過失がなかったか、交際開始時の婚姻関係がどうだったか等が問題になります。説明を受けた時期や内容、プロフィール、メッセージ、生活状況などを保存し、個別に検討する必要があります。

Q. 交際相手の配偶者から会社や家族へ知らせると言われたらどうしますか

A. 脅しや過度な連絡を受けても、対抗して公開したり感情的に応酬したりせず、メッセージや着信履歴を保存してください。発言内容、頻度、目的によって対応が異なるため、危険を感じる場合は警察や弁護士へ相談します。

Q. 裁判所から訴状も届いた場合はどうすればよいですか

A. 私的な請求書とは別の手続です。訴状、期日呼出状、答弁書の案内を確認し、提出期限と第1回期日を優先してください。適切な答弁書を提出せず欠席すると、相手の請求を認める判決が出る場合があります。裁判所の答弁書書式も確認できます。

まとめ|回答や支払いを約束する前に請求の根拠を整理する

不倫慰謝料の請求書や内容証明が届いても、請求書に書かれた事実、金額、支払義務が確定したわけではありません。封筒を含む書類を保管し、差出人、請求理由、金額、回答期限、裁判所書面の有無を確認します。

行為の有無、相手が既婚者だと知った経緯、交際開始時の夫婦関係、請求者に生じた損害、既払額、時効等を分けて整理してください。内容を確認せず、支払い、謝罪、接触禁止、違約金等を約束することは避けます。

岩澤法律事務所は、宮崎市橘通西にある法律事務所です。回答や支払いを約束する前に、届いた請求書面と封筒をご用意いただければ、ご事情に応じて、責任の有無、回答事項、今後の進め方を整理します。

初回の面談相談は30分まで無料です。電話相談は初回10分まで受け付けています。相談予約は電話(0985-77-8177)または相談予約フォームからお申し込みください。平日17時以降および土日祝は、折り返しでの対応となる場合があります。

※利益相反、相談内容、地域その他の事情により、相談・受任に対応できない場合があります。相談結果、減額結果、裁判結果を保証するものではありません。

このコラムの監修者

岩澤 千洋弁護士

岩澤法律事務所

岩澤 千洋弁護士宮崎県弁護士会所属

日々の生活で生じる悩みの多くは法的な問題に分析することができ、何かしらの法的な解決(目的地)を見つけることができます。まずは、お気軽にご相談ください。どのような問題であれ、何事も依頼者の方の立場利益を第一に考えて、できる限り依頼者の方の利益にかなう解決(目的地)に向けて最善の努力をいたします。

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